姉と甥っ子と、時々たぬき🍃
ある日、姉が学校からの帰り道、慌てた様子で家に帰ってきた。
「たろちん、聞いて! たぬき見た!!」
沖縄にたぬきがいるなんて、聞いたこともなかった。だから素直に驚いた。
「えっ、たぬき!?」
「そう、たぬき! それも、2メートル以上あるたぬき!!」
詳しく聞くと、家の近くの公民館にある小さな祠――その鳥居の前に、そのたぬきは座っていたという。
公民館の横を歩いていた姉が、ふと目の端に大きな物体をとらえ、目をやると、そこには大きなたぬきが座っていた。
姉は呆然と見つめた。
すると、たぬきはゆっくりと顔を横に向け、姉と目が合った。
ハッとした表情を浮かべた次の瞬間、たぬきの姿はスッと消えたそうです。
それから十数年。
姉は結婚し、甥っ子が生まれた。
ある日、久しぶりにその公民館の横を、甥っ子と二人で散歩していた。
すると甥っ子が、唐突にこう言った。
「お母さん、前にここでたぬき見た?」
「えっ!? そんな話、したっけ?」
「お母さんから聞いてないよ。たぬきさんが、公民館の横を通るときに話してくれたの。」
甥っ子いわく――姉があのたぬきを見た日、たぬきは神様になるための修行中だったのだという。
ふと気を抜いた一瞬、その姿を姉に見られてしまった、と。
それからも修行を続けたそのたぬきは、今ではあの土地を守る神様になっているのだという。
なんともジブリ的な話だが、聞きながら自分の頭に浮かんでいたのは『平成狸合戦ぽんぽこ』だった。🍃
今でも沖縄に里帰りしてその公民館の前を通る時があると、つい鳥居のあたりを見てしまう自分が居る☺️


