本当に来たのかよ!
〜イエロースタッズの太一さんと2年越しの約束〜
昔、自分はロックバーをやっていた。
その頃、自分には好きなバンドがいた。
イエロースタッズだ。
CDでいつも聴いていた。
YouTubeでMVも見ていた。
でもライブには一度も行った事がなかった。
そんなある日、自分は店の宣伝も兼ねてイベントをやろうと思った。
そして思った。
呼ぶならこのバンドしかいない。
そう思い、イエロースタッズのボーカルである太一さんにSNSのDMに直接メッセージを送った。
「沖縄でライブしてくれませんか?」と。
今思えば無茶な話だったと思う。
ライブも見た事がない。
会った事もない。
ただイエロースタッズの音楽が好きなだけの人間から突然DMが届いたのだからそりゃ驚くだろう。
しばらくして太一さんから返事が来た。
「個人で呼ぶの?」
そして続けてこう言った。
「俺達事務所に入らず個人でやってるから高くつくよ。」
それでも自分は食い下がった。
「それでも呼びたいんです!」
すると太一さんはこう言った。
「その気持ちは嬉しい。でも本当にお金がかかる。」
そして最後にこう言った。
「呼ぶより見にきてくれ!」
自分はそれ以上言葉が出なかった。
だからこう返した。
「俺、絶対太一さんに会いに行くんで!」
その約束から二年後。
イエロースタッズが渋谷でワンマンライブをやると聞いた。
自分は居ても立っても居られなくなり、飛行機に乗り、渋谷へ向かった。
ライブ当日。
自分は最前列にいた。
何曲か歌いそしてMCの時間になった。
自分は大声で叫んだ。
「太一ー!!太一ー!!俺だーー!!」
太一さんは驚いた顔でこちらを見た。
そりゃそうだ。
DMでしかやり取りしていない俺の事なんて知るわけない。
顔も知らない。
声も知らない。
分かる訳がない。
だから自分は続けてこう叫んだ。
「沖縄出身の前にオファーしたたろちんです!!」と。
すると太一さんは笑いながらこう言った。
「おおーーー!!!!」
「あの時のたろちんか!!!!」
「本当に来たのかよ!!!!」
「今日は楽しんでくれよーー!!!!」と、太一さんは言ってくれた。
嬉しかった。
俺は本当に嬉しかった。
その日、自分は最後まで最前列で太一さんと一緒に歌い続けた。
声が枯れるまで歌い続けた。
そして今でも辛い時、悲しい時、苦しい時。
車のオーディオから流れるのはイエロースタッズだ。
もちろんイエロースタッズの音楽は好きだ。
でも思う。
本当に好きなのは音楽だけじゃない。
あの日。
約束を果たす為に渋谷へ向かった自分。
無理だと言われても諦めなかった自分。
「絶対会いに行く」と言った後、約束を果たしに渋谷まで行った自分。
そして本当に会いに行った自分。
もしかしたら、自分が今でも好きなのは、あの日約束を果たした俺の後ろ姿なのかもしれない。
そして今なら分かる。
あの時俺はイエロースタッズに投資をしたんじゃない。
未来の自分に投資をしていたんだ!
YellowStuds『汚い虹』MV🔻


